野鳥を研究する上で大事な事

こんにちは、修士2年になりました江指です。

今回は、高木研全員の研究に関わる、フィールド調査について。

私たちが行っている鳥類の研究は、主に野外で得られるデータをもとにしています。

もちろん、普通のバードウォッチングと同様に、双眼鏡やカメラで遠くから野鳥を観察するのも調査の重要な要素ですが、それ以外にも以下の様な調査方法を行っています。

 ・レコーダーで野鳥の声を録音
 ・巣や巣箱にビデオカメラを設置して子育ての様子の録画
 ・捕獲をして計測
 ・少量の採血や抜けた羽からDNAデータのサンプリング
 ・GPSなどの機器を野鳥に装着

などです。

研究機材_江指
双眼鏡やカメラはもちろん、ICレコーダーなど色々な機材をフィールド調査に活用しています。

しかし、野鳥や巣に不用意に近づいたり、長時間野鳥を観察したりする行為は、鳥にストレスを与えるだけでなく、繁殖や生存に悪影響を及ぼすリスクが大きく、フィールドマナーとしてNGです。

≪野鳥の観察・撮影マナーに関しては日本野鳥の会のホームページが参考になります≫
フィールドマナー
野鳥撮影マナー

そこで、鳥類を単に観察ではなく、フィールド調査を行う上で、何が必要で、何に気を使っているのかを紹介します。


野鳥の捕獲の許可について

許可なく野鳥を捕獲したり飼育したりすることは、たとえスズメ1羽であっても違法です。

野鳥を研究の為に捕獲するには、環境省や各都道府県に申請を行い、許可を得る事が必要不可欠です。

また、鳥を捕獲して金属製の足環を装着する調査は、環境省および山階鳥類研究所が行っている鳥類標識調査の一環として行っています。

捕獲にはかすみ網という網を用いていますが、これは標識調査など特別な場合を除き、所持・使用は法律で禁じられています。

標識調査は誰でも出来るわけではなく、経験・知識・技術を豊富に持つ鳥類標識調査員(バンダー)のもとで行っています。

モズ足環_Esashi
金属製の足環を装着したモズ。足環は軽量で、その鳥の足の太さに合ったサイズを装着します。
それぞれに異なる番号が振ってあり、個体識別が可能です。


≪標識調査について詳しくはこちら

これ以外にも、採血やGPSの装着なども許可を得た上で行っており、鳥に極力負担をかけないような手法を採用しています。


繁殖モニタリングについて

鳥の繁殖行動を記録するのは、野鳥を研究する上でとても重要な内容です。
しかし、繁殖中の野鳥や巣に近づくことは、巣の放棄や雛および親鳥の捕食に繋がりかねません。

そこで、遠くから巣の様子を観察する、巣内を確認する回数を最小限にとどめるなど、極力繁殖に干渉しないモニタリングを行っています。

この手法は鳥の種類によって異なるので、長年の調査で得られた各種類のノウハウを用いる事で、繁殖に悪影響を及ぼさないように細心の注意を払いながらモニタリングする事を心掛けています。


地域の方の理解・協力

野外調査を行う際、フィールドとなる地域の方の理解・協力が不可欠です。

私有地で調査を行わせていただく際はもちろん、たとえ行政や土地所有者の許可を得ていた上での調査であっても、地元の方に調査内容を知っていただいたり、ご迷惑を掛けないように心がけたりする事が重要です。

また、野外調査を行わせていただいている以上、地域への還元・貢献も大事であると高木研では思っています。

なので、研究成果の講演会や学校教育、野鳥の観察会、地域のイベント参加など、お世話になっているフィールドで積極的に行う事で、地元の方との交流を図っています。

大東_Esashi
調査地の地元の方に、差し入れの手料理や果物を頂くこともあり、有り難い限りです。
研究を長年続けている南大東島では、農作業の手伝いや小学校で授業をする機会もいただいています。


特に鳥類の保全には、地域のご理解・ご協力が必要不可欠なので、今後も地元の方や行政と連携してフィールド調査を進めていければと思います。


最後に…フィールド調査でわかる事

このように、野鳥を研究する上では、必要な許可や気をつけなければいけない事が数多くあります。

しかし、これらを行う事で、初めて明らかになる野鳥の生態が沢山あります。

例えば、高木研で扱っている内容では、
 ・巣のモニタリング→基礎生態、繁殖戦略、餌内容
 ・DNAデータの解析→集団構造
 ・GPSロガーなどの装着→野鳥の渡りルート、行動圏

など、フィールド調査で得られたデータから数多くの事を解明してきました。

また、地道な標識調査によって、鳥の渡りルートや寿命などの基礎的なデータの蓄積にも貢献しています。

今後も、野鳥に干渉しすぎないのを最優先にフィールド調査を行い、学術研究や保全に活かしていきたいと考えています。

以上です!
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プロフィール

北大野外鳥類学研究室

Author:北大野外鳥類学研究室
私たちは北海道大学 野外鳥類学研究室です。
髙木昌興教授を中心に、学生10名(博士1名・修士5名・学部生3名)で活動をしています。
北海道から沖縄まで、日本全国のフィールドで様々な鳥類を対象に、自然の摂理を見出そうと日々奮闘中です。
そんな私たちの日々の活動や雰囲気を、このブログで少しでも感じて頂けたらと思います。

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